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これは、日頃の裁判傍聴の中で実際にあったお話をもとにしています
第2回
 高等裁判所で民事裁判を傍聴しました。40才ぐらいの女性の証人調べなのですが、裁判官が宣誓を始めさせようとすると、いきなりその言葉をさえぎり、「その前にちょっといいですか?」と女性が話し出しました。「うしろにたくさんの知らない人たちがいるのですが、どうしてですか?」「この人たちの前で、どうして私はプライベートなことを話さなくてはいけないのですか?」・・・その女性は感情的になっていました。裁判官は、裁判が公開されていること、傍聴は誰がしてもいいことを告げて再開です。
 尋問が始まりました。内容は、離婚する前の夫との借金に関するものでした。しかし、尋問の内容が一審での内容とかなり重複していたのでしょう、次第に「それは前に言ったでしょ」「何度、同じことを言わせるのですか」などと証言する声が荒くなってきました。そして、とうとう、泣き出してしまい、「私は何もしていません。今は、暴力をふるう夫と別れて子どもと二人でやっと落ち着いて生活できると思ったのに・・・また、こんなことに巻き込まれて・・・今日も仕事を休んで南九州からやって来たのに・・・前の裁判の時に聞いたことを同じように聞くだけだし、知らない人たちの前で、どうして私ははずかしめを受けなくてはいけないのですか?」 もう尋問できる状況ではなくなってしまい、証人を申請した弁護士も尋問を打ち切ってしまいました。証人も、さっさと法廷から出て行く始末です。傍聴席にも異様な雰囲気が漂っていました。
 裁判公開の原則と、プライベートの問題は表裏一体の難しい問題だと、あらためて感じさせられました。そういえば、以前の離婚裁判の時は、女性弁護士から傍聴を差し控えるように言われ、私達も退廷したこともありましたし・・・
 話は、ガラッと変わりますが、同じ日に傍聴した地裁での民事裁判では、第一回公判にもかかわらず、開廷と同時に猛然とノートにメモを書いている原告側弁護士さんがいました。「訴状のとおり、陳述しますか?」など、まだ、何ら動きの無い段階なのに、その鉛筆の運動量たるやスゴイものがありました。今でも、あの“内職?”が何だったのか、気になるところです。
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